『オッペンハイマー』日本公開前に読んでおきたい関連本

映画

クリストファー・ノーラン監督作『オッペンハイマー』のソフトが海外で発売されました。オッペンハイマーは日本未公開の映画で、今後の公開やソフト化も未定です。一方、ノーラン監督前作の字幕監修担当に台本が渡った等、日本公開向けた動きも噂されています。

映画『オッペンハイマー』は、米国の核兵器開発成功の立役者、J・ロバート・オッペンハイマーの栄光と転落を描いた伝記映画です。史実を映像化した今作では、多数の人物や団体が登場し、科学関連の専門用語が多用されます。また、ノーラン作品特有の素早い場面展開や時系列の入れ替えも健在です。従って、視聴前には何らかの資料による予習が必須であると筆者は考えています。この記事では、『オッペンハイマー』を視聴するにあたって、読んでおきたい本や資料を皆さんにご紹介します。なお、ほとんどの本が25年以上前に発売され絶版状態ですので、図書館等のサービスを利用されることをオススメします。

オッペンハイマーとは?改めて解説

J・ロバート・オッペンハイマーは、米国の核兵器開発最大の功労者として知られる同国の物理学者です。核兵器製造の極秘計画を成功に導いた「原爆の父」と称される一方で、戦後の水爆開発をめぐる政治的駆け引きや過去の経歴への嫌疑により、彼はホワイトハウスの核政策グループから追放されてしまいます。

冷戦を見据え水爆開発推進へ舵を切りたい米政府内部の決定は、国家の英雄であった彼の人生を山から谷へ急降下させます。映画『オッペンハイマー』は、前半で核兵器開発開始から実験成功まで、後半で彼の核兵器に対する考えの変化と身分保証取消に至るまでの一部始終が描かれます。

オッペンハイマー「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇【重要度★★★】

映画『オッペンハイマー』は、伝記小説『オッペンハイマー「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇(原題:American Prometheus: The Triumph and Tragedy of J. Robert Oppenheimer』)』を原作としています。歴史研究家のカイ・バードさんとマーティン・シャーウィンさんが執筆に25年を費やした、約800ページ(翻訳本)の大作です。作品は2005年に発表され、2007年には邦訳本がPHP研究所より上下巻で発売されています。

内容はタイトルの通り、オッペンハイマーが原爆開発で成功を収めるまでと、その後の転落が事細かに語られます。映画はその中の特に重要な情報を3時間にギュッと詰め込み、映像にしています。ですので原作を読んでいる人といない人では映画の理解度が全く異なります。少々ボリュームのある本ですが、劇中の難しい専門用語や素早い場面展開について行くためには、原作を読んでおくことが最も確実です。

※2023年12月現在単行本は絶版状態で、中古価格も高騰しています。図書館等の公共サービスを利用することがおすすめです。2024年1月10日にハヤカワ文庫NFから再出版される予定です。

ロバート・オッペンハイマー : 愚者としての科学者【重要度★★☆】

『ロバート・オッペンハイマー : 愚者としての科学者は、日本人著者藤永茂さんが1996年に発表したオッペンハイマーの評伝です。物理化学者でエッセイストである藤永さんは今作の執筆にあたり、実際にオッペンハイマーの周辺人物への聞き込みを行われました。448ページのこちらの評伝は原作より短いですが、この本からも映画の基礎知識は十分に得ることができます。原作に比べ、身分保証取り消しを決定するグレイ委員会(オッペンハイマー裁判)に割かれるページは少ないです。裁判の出席者や経過は映画の理解に重要ですので、この点は別に調べる必要があります。

なお『ロバート・オッペンハイマー : 愚者としての科学者』は現在、書店やAmazon等で新品で購入可能です。他の本へのアクセスが難しい方には、こちらが最もオススメです。

オッペンハイマー 原爆の父はなぜ水爆開発に反対したか【重要度★★☆】

『オッペンハイマー 原爆の父はなぜ水爆開発に反対したか』は1995年に中公新書から発売された新書本です。著者は文化学園大学・国際関係学教授の中沢志保さんで、ページ数は254P。上記で紹介した2つに比べて短く、最も読みやすい予習本と言えます。聴聞会の詳細やオッペンハイマーの生い立ち等、省略されている情報も多いですが、要となるワードはしっかり記述されています。わからない単語は自分で調べておくと良いです。

『オッペンハイマー 原爆の父はなぜ水爆開発に反対したか』は現在Amazonで販売されていますが、古本で定価の倍近い価格です。

原子力は誰のものか【重要度★☆☆】

『原子力は誰のものか』は中央公論新社から出版された単行本で、著者はロバート・オッペンハイマー本人です。この本には、彼が登壇した6つのスピーチが収録されており、物理学に関してはもちろん核兵器が社会全体にもたらす変容、国家の意思決定と先端科学の関係といった諸問題に対し、広範囲に私見を披露しています。

文章は非常に難解ですが、それでもこの本を読むことは映画への理解とその後の思考の一助になると思います。

こちらも2023年11月現在絶版状態にありAmazonでぼったくり価格で販売されています。図書館等のサービスを利用するのが良いでしょう。

おまけ サウンドトラックも事前鑑賞がオススメ

サウンドトラック:Oppenheimer(Original Motion Picture Soundtrack)

今作の劇伴は、前作『TENET』や『マンダロリアン』のルドウィグ・ゴランソンが担当しています。『Fission』『Trinity』等、場面ごとのキーワードがそのまま曲名になっていますので、聴きながら予習本を読んだり意味を調べたりすると良いでしょう。

まとめ

以上オッペンハイマー公開までに読んでおきたい本でした。上記以外にも関連本はたくさんありますので改めて紹介します。

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